キツネ目の男
めがねのくそじじい

第4話

こんな客に笑顔で接待。
わたしってえらい


家で飲めば酒代だけよ

 

ある日、このじじいは向かいの店で飲んでいた。

そして、

「向かいにあるスナックは高い。高すぎる。」

(うちのことだよ)

とにかくしつこく言ったらしい。それを聞いてたあるお客さんが、

「じゃ、2000円で飲みに行こう。あそこだってそのくらいで飲めるんだ」

「いやいや、そんなんじゃ飲めないよ。とにかく高いんだから」

「そんなはずない。飲めるはずだ。」

などという会話をしながら二人で飲みに来た。

「ママ、悪いけど今日は金がないんだ。

 二人で4000円以内で飲ませてくれるかな?」

「じゃ、夏子ちゃん、4000円近くになったら教えてあげてね」

ママが言うので、私は予算をオーバーしないように非常に気を使ったのでした。

3800円になったとき、

「そろそろ4000円になりますけど。」と言うと、

「じゃ、じいさん、2000円出して。」

メガネじじいは、おごってもらえると思っていたらしく

「オレに金を出せと言うのか。おーおーよく言ったよ。えらいねぇ。

 まじ?マジにオレから金取ろうと思ってんの?

と渋々2000円を出し、たたきつけるようにして一人帰っていきました。

ママは大喜び。

「あースカッとした!よくぞ言ってくれました!」

そのお客さんは、

「いやさ、あんまり高い高いって言うもんだから、頭来ちゃってさー。

 高いと思ったら飲まなきゃ良いんだよなー。」

「そうなんだよ。来なきゃ良いんだよ」とママ。

しかし、2000円が惜しいなら、家で飲んでりゃいいのにね。

2000円で高い高い言うなっつーの。

ウチは居酒屋じゃないんだから。