千葉ちゃん

第4話

今日は行動が渋いはなしです。
いまいち、盛り上がらなかったので最終回


腰に手を回すはじじいの証拠

 

 

千葉ちゃんがその日来たのは、夜、10時頃でした。

いつものようにカウンターの隅に座り、

「とりあえず、ビール。」と注文をした時のことです。

恵子ちゃんが

「千葉ちゃ〜ん 来てくれたのぉ〜?

 うれしい。会いたかったわ〜ん」と、いきなり抱きつきました。

普段は、そんなことしない彼女だから、千葉ちゃんはちょっとびっくりしてました。

しかし、彼の左手が恵子ちゃんの腰に回っていたのを私はしっかり見ていました。

自分の娘と同じくらいの年の若い子にでれでれしている千葉ちゃんは、

とても嬉しそうで、口元が意識してないのに自然と微笑んでいるではありませんか。 

(なーんだ。いつもかっこつけてるけど、結局はただのおじさんじゃん。 まぁ、男の人は、これが普通だけどね。)

実は、恵子ちゃんは、彼氏と別れて落ち込んでいたので、まだ10時だというのにすでにとても酔っていたのです。

酔っぱらうと、誰かまわず抱きついてしまうのが彼女の癖で、しかもきれいに全部忘れてしまっているのです。

そんなことはつゆ知らず、とてもいい気持ちになった千葉ちゃんは、

「今日はどうしたの?ずいぶん色っぽいんだね。とてもかわいいよ」などと言っていました。

その時、「いらっしゃいませー」

恵子ちゃんを、好きで好きで通ってくれているお客さんが来ました。

結構お金を使ってくれるので、恵子ちゃんは彼のことを

「カモ」(そのままだね)と呼んでいます。

(ひどいと思う? とんでもない。仕事、仕事。

千葉ちゃんの腕に抱きついていた彼女は、あっさりと離れ、その人の所へ行き

また抱きついていました。千葉ちゃんはそれでも満足だったようで、

「今日の恵子ちゃんには、ボクは心の安らぎを感じたよ。」と訳の分からないことを言いました。

「夏子さんは酔ったらあんな風にならないの?」

「なりませんよー。少なくとも店の中では。外で酔ったら・・わからないけど。」

「じゃ、今度外で一緒に飲もうよ。」

「いいですねー。よろしくお願いします。」(外へ行く気なんてさらさらないよーだ)

翌日、恵子ちゃんは、千葉ちゃんに抱きついたと知って、

「なんて、気持ち悪いことをしてしまったんだろう。」と言ってました。

この日も、千葉ちゃんは来てくれたのですが、恵子ちゃんのことが気になるようでした。

何か、期待していたんでしょうか?ちらちらと恵子ちゃんの方を見ては、

「今日の彼女は昨日と違うね。」

「うん。昨日はすごく酔っぱらってたから。昨日のこと全然覚えてないって言ってたよ。」

「なんだ。残念。」 

(なーにが残念だか。よくわからんね、このおやじも。)

 

おわりじゃ!