ブーさん

第11話

この人がサメだって事、忘れてました。(笑)
自分で質問して自分で答える。
ある意味”夢の永久機関”だよね。


「千草様、あの娘でございます!」
「源造!ついに見つけたわ。紅天女の後継者を・・・」
「そうはさせませんわ!」
「亜弓さん?」
「わたくしも紅天女のためにどれだけ努力したか・・・」
「おーっほっほっほ!芝居で勝負なさい。
               どちらが勝ってもそれが実力!
一人芝居勝負で勝った方が『紅天女』の主役。
いいわね?マヤ」
「先生・・・・」
「興行権は我が大都芸能に頂けるんでしょうな!」
「真澄さん?」
(本当にこの人が紫のバラの人なの?)
(このタイトルは長いよ!誰か止めてよ!)

 

で、やっぱり聞いてきたのだ。

「ねぇ、教えてよ。あの頃は実際のところどうだったの?

 いいじゃん。俺は来年結婚する身だしさ。

 彼氏・・・いたんでしょ。いたに決まってるよね。

 あんだけ口説いたのになっちゃん、落ちなかったもん」

(そういえばこいつは自信家だったっけ。
 それにしても相変わらずよくしゃべり続けること!)

「ふふっ・・・・・」

(笑ってごまかす夏子)

「やっぱりねー。そりゃそうだよなー。

 ね、ね、その頃は彼氏とつき合ってどのくらいたってたの?

 一年くらいかな?」

「ふっ・・・・・・」

(なおも笑ってごまかす夏子。
 もうどうにでもなれと思っている)

「そっか〜・・・一年か。

 一番楽しい時期だよね。

 で?彼氏とは、何?結婚するつもりでつき合ってるの?」

「・・・・・にこり」

(ここまで来ると、いつまで笑ってごまかせるか?
 挑戦したくなってきたぞ)

「じゃ、なっちゃんの、ほら、・・・事情もわかってくれているわけ?」

(そういえば、ぶーさんは私が
 
バツイチの子持ちだと思いこんでいたっけなぁ)

「・・・・・にこにこ」

(ここいらが限界か!?)

「あぁ、そうなの〜。じゃ、よかったじゃない!

 でもくやしいねー。俺、あんなに頑張って口説いたのにさ。

 要するに俺に魅力がなかったということなんだよなぁ」

(いやぁ、魅力があるない以前の問題だと思うけどね)

「夏子ちゃん、よかったじゃない。お互いに幸せになろうね」

「・・・・は、はい!」

(思わずここで返事をしてしまったがしまったが
 この人、質問から答えまで全て一人芝居でこなしてしまった)

 

この役をやる為に生まれて来た・・・野際陽子

 

今日からぶーさんにとって夏子という人間は、

”バツイチで二人の子持ち”でもあるが

”今の彼氏といずれは結婚する女”である。

ということになったわけよ。

 

ま、いいけどね。